「責務を伴う立場に立たされることを巧妙に避けながら、かれはこれまでの人生を送ってきた。人間関係の複雑さに絡めとられることなく、規則に縛られることを できるだけ避け、借り貸りのようなものを作らず、一人で自由にもの静かに生きること。それが彼の一貫して求め続けてきたことだ。」
→「一人で自由にもの静かに生きること」を実践する為には、よほど良く考えて処さないと難しいと思われます。
稼ぐ必要がない資産家とか年金生活者であれば、周囲と係わらず一人で静かに生きる事ができるのかもしれませんが、稼ぐ必要がある場合、どんな仕事についても周囲の人にあれこれ言われ、それなりに係わる事になり、「一人で自由にもの静かに生きる」は相当難しい。
へーへーと言われるままに対応するのも腹が立ち不自由、突っ張っても唯我独尊に過ぎず、周囲を無視しても落伍者とか変人と言われるだけです。
「人の事には係わらなくてよい仕事とポジションを選択し、誰にも文句を言わせない成果を上げる。」かなあ?
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チェーホフ 「サハリン島」 からの引用「ギリヤーク人」が面白い。
「彼 らが今にいたるもなお、道路の使命を全く理解していないという一事からしても、彼らが私たちを理解するのがいかに困難か、わかるだろう。道路がすでにしか れているところですら、あいかわらず密林を旅しているのだ。彼らが家族も犬も列を作って、道路のすぐそばのぬかるみを、やっとのことで通っていくのを良く 見かける。」
→ギリヤーク人が道路を見るのが初めてだったとしても、歩いてみればずっと楽に歩ける事が判るはずで、「道路のすぐそばのぬかるみを、やっとのことで通っていくのを良く 見かける。」は信じ難い。
今の我々では想像できない思い、例えば「へんちくりんな道路を歩けば悪霊に取り付かれる」といった想念があったのでしょうか。
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